平成26年度 保育関係予算要望事項
「子どもたちは、この社会のなかで、今を共に生きるひとりの市民です。子どもたちの生活と学習と発達に対する投資は、未来の見返りを当て込んでのものではありません。今、ここに生きている子どもたちそのものが大事だと考えてのものです」これはある国の保育指針に書かれている言葉です。
我が国では、少子化は経済や社会保障の担い手に及ぼす影響が大きいといった危機意識から子育て保育対策(待機児童対策等)が捉えられている感があります。「今ここに生きている子どもたちそのものが何より大事だから投資(財政措置)する」という子どもの視点からの発想が残念ながら希薄に思えます。
国や自治体では枕詞のように保育の質の向上が掲げられますが、保育者の具体的処遇改善を裏付ける保育単価や補助制度の改善は遅々として進まず、保育士の人材確保に困難という状況が生まれています。子どもを産み育てやすい社会の実現にはこれらの条件を一刻も早く改善し、保育者の育成・確保に努め、保育所の整備や子育て支援機能の拡充を図ることが何より重要です。
昨年成立した子ども・子育て支援新制度では、児童福祉法第24条は概ね現行に近い形で守られ、認可保育園と市町村との委託契約関係も当面維持されました。このことは、日本の公的保育制度を維持・発展させるために大変重要なことであると思います。
私たちは、長年に渡って築き上げてきた県・市町村との連携の成果を基に、今後さらに全ての子どもたちが豊かな環境で心身共に健やかに育って行けるよう質の高い保育事業に邁進する所存です。そのためには、以下のような条件整備が必要不可欠なことと考え、ここに要望いたします。
1.新制度施行に際しても、現行の県の補助金制度は堅持してください。
2.県の子ども・子育て会議では、児童福祉法24条1項を軸にした計画の策定をしてください。また会議構成メンバーには当連盟代表の参加を要求します。
3. 一歳児担当保育士雇用費は堅持してください。
4. 改正児童福祉法第56条2では施設整備補助金は保育所を除くとなっています。参議院付帯決議にある安心こども基金の水準維持がはかられるよう、国に働きかけてください。尚、継続されない場合は県単独補助を創設してください。
5. 首都直下型等各地で大震災が予測されています。老朽化施設の耐震調査が実施できるよう費用補助をしてください。耐震補強工事が必要な場合は速やかに実施できるよう3/4の県単独補助制度を創設してください。
6.放射能汚染による乳幼児への影響がまだまだ心配です。行政が定期的に大気・土壌・食材の測定を実施してください。
7.乳児途中入所促進事業の0歳児対象月を9月まで延長してください。平成19年度より、廃止された1、2歳児補助の復活をしてください。
8.3歳児を15:1で、4、5歳児を20:1で職員配置できるよう実態に即した補助としてください。又、様々な問題を抱え、集団のなかで過ごせない子どもなどが年々増加しています。支援の職員が配置できるよう単独補助をしてください。
9.平成23年3月に厚生労働省が作成した「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」をより実効性のあるものにするため、アレルギー等対応特別給食提供事業費の増額と、対象児数は1人からにもどしてください。
10.障害児保育対策費補助金の増額をしてください。
障害児保育補助事業は、2対1となるよう増額してください。認定については県指定の巡回相談員、市町村の保健師や相談機関が認めた場合も対象としてください。また、入所月からを対象として補助してください。
11.産休等代替職員費補助金は必要な事業として継続し充実してください。
現行、日額6,168円(1時間あたり771円)を、8,000円(1時間あたり1,000円)に引き上げてください。
12. 一時預かり事業、地域子育て支援拠点事業について実施可能な費用となるよう国へ要望してください。尚、出来ない場合は県単独補助を実施してください。